こんにちは、マツナガです!
今日は、消防士のお仕事シリーズで「出張所長の1日」というテーマで解説していきたいと思います。
出張所とは、消防署の管轄区域内に点在する「警察の交番」みたいなイメージです。
消防署だけではカバーできない管轄範囲を、出張所でカバーしているのですね。
出張所には消防隊だけの場合や、救急隊が配置されている場合などもあり、4~8人くらいの職員で勤務しています。
出張所長は、こういった出張所のトップです。階級としては、消防司令補~消防司令で任命されることが多いでしょう。
東京消防庁や一部の政令指定都市では、出張所長は「毎日勤務」となっており、泊まり込みの「当直勤務」とはなりません。
今回の記事では、「消防署と出張所の違い」「消防出張所長の仕事の一日の流れ」として、泊まり込みの当直勤務を行い、消防隊の隊長を兼ねる出張所長の仕事を解説していきます。
以前紹介した「消防署の消防士の一日のスケジュール解説」記事のように、1日の時系列にそって説明していきたいと思います。
それでは、さっそくやっていきましょう!
消防士の階級についてはこちらの記事を参照してください。
消防士の出世コースについてはこちらの記事を参照してください。
👉 【高卒・大卒関係ナシ】消防士の出世コースを解説【昇任試験と派遣が重要】
目次
出張所とは、消防署の管轄区域内に点在する小さい分署みたいなイメージです。
消防署だけではカバーできない管轄範囲を、出張所でカバーしているのですね。
消防署では、20人~30人程度の人数で当直し、消防隊、救助隊、救急車、はしご車、積載車、指揮車など、色々な車両や隊員が配置されています。
一方、出張所には消防隊配だけ配置されていいたり、少し大きい出張所だと救急隊が配置されている場合もあります。
消防隊しか配置されていない場合は4~5人、救急隊が配置されている場合は7~8人くらいの人数で勤務します。
イメージ的に言うと、警察だと交番みたいな感じです。
住民からの届出も、消防署はほとんどの書類を受け付けることができますが、出張所の場合は受け付けられない届出も多いです。
ここからは出張所長の仕事を朝~夜~翌朝まで時系列に沿って解説します。
2部制の交代制勤務の場合、1つの出張所に所長は2名います。
1課番と2課番で1日ごとに交代勤務を行うので、それぞれの課に所長がいるわけですね。
正式な勤務開始は8:30からですが、8時過ぎくらいに反対番の所長から申し送りを受けます。
・出場の有無(出場して使用した資機材を確認する)
・署長・副署長からの指示内容
・来客者への対応
・庁舎・設備の修繕対応等
申し送りが終わったら、自分のヘルメット、防火帽、感染防止衣などの個人装備を消防車の助手席(小隊長の席)に積み込みます。
8:30になったら、庁舎の前に整列して、人員と車両の点検をします。
この時の出張所長の役割は、機関員(消防車・救急車の運転手)の運転免許証確認、車両点検の指示です。
出張所長自身も、助手席にあるAVM(車両動態管理システム)、空気呼吸器の点検をします。
車両点検が終わったら、体操実施を指示します。体操の指揮をとるのは、年少の消防士が多いです。
朝のミーティングで、部下の職員に今日やる業務内容を伝えます。
出張所長は、特に決まった予定が無い限り、その日に行う業務を決めることができます!
これが出張所長の強みですね。
基本的には、消防本部で決められている定期的な水利調査や建物の立入検査、消防隊員・救助隊員の能力テスト等、年間を通してやらなければいけない業務が決まっています。
それらの業務を、「いつ」「どのように」「どのような順番で」実行するかというのは、出張所長の裁量で決めることができます。
今日は事務処理デーにしよう
とか、
最近訓練やってないから午前中は訓練、午後は水利調査に行こう
などなど、予定が無い日は自由自在です。
出張所長になると、仕事の裁量権が非常に大きくなります。
消防署全体で訓練をしたり、業務の研修会、住民への訓練指導等の予定が決まっている場合は、そちらが優先になります。
ミーティングが終わると午前中の業務開始です。
午前中には消防隊訓練・水利調査・事務処理などなど、ミーティングで決めた業務を行います。
管内の消防署(本署)に事務連絡で行く予定が組まれている場合もあります。
また、出張所長は出張所の庶務担当でもあります。
給与・休暇関係の決裁、庁舎のメンテナンス、消防車の修理・点検、ゴミ出しや布団のクリーニングなど、予定を確認して部下の職員に伝えるのも重要な仕事です。
私が出張所長をやっていた時は、訓練はミーティング直後にすぐ行うことが多かったです。
午前中は頭も体もよく動きます。
昼休憩明けだと少しボーっとしてしまうので、難しい仕事は午前中に行って、ルーチンワークは午後に行うようにしていました。
訓練で水浸しになったり、水仕事の雑用が多い消防士にはジーショックがオススメです。
昼食は、消防士~消防士長くらいの部下が食堂で作ってくれます。
昼食のメニューとしては、つけうどん、パスタ、ラーメンなどの麺類が多いです。
昼食ができ次第食べますが、出張所長として大事なことが一つあります。
それは、メシ・風呂は一番最初に食べる権利があると同時に義務でもあるということです!!!
出張所には「所長優先原理」という暗黙の不文律があります。
所長が最初にご飯を食べたり風呂に入らないと、部下や後輩が遠慮して食事・入浴ができません。
仕事が溜まっていても、真っ先に食事・入浴は済ませる必要があります。
消防署の食事事情についてはこちらの記事を参照してください。
👉 【料理は必須スキル?】消防士の食事事情を詳しく解説!【メニューも紹介】
12:00から一時間は昼休憩です。
この時間は、個室の仮眠室に入って昼寝したり、読書したり、スマホで動画を見たり、好きなことをして過ごします。
自分は、仮眠室で昼寝をすることが多かったです。
午後の業務でも、特に予定が決められていない場合は好きな業務を進めます。
体力テストや消防隊・救助隊の能力確認テストなどが近い場合は準備訓練を行ったり、非番日に立入検査の予定がある場合は、関係者にアポイントメントをとったりして準備を進めます。
若い消防士に業務の教養を行うことも多かったです。
ここらへんは出張所長は本当に自由です。
建物の立入検査に行く場合、出張所長は基本的に部下職員が担当する立入検査に同行することになります。
私が勤務していた消防本部では、24時間勤務の職員の立入検査は非番日に行くことになっていました。
出張所長は非番日に、部下職員の同行で何回も立入検査に行くことになります。
逆に自由すぎて、最初のころは何をやったら良いか悩みます。
慣れてくると、何やってもいいので、出張所長は本当に楽しいです。
消防士にオススメの手袋についてはこちらの記事を参照してください。
17:15から夕方の休憩です。
この休憩の時間で、体力錬成、トレーニングを行うことが多かったです。
出張所に備え付けのダンベル、バーベルで筋力トレーニングをしたり、出張所前面の歩道をランニングしたりして、部下の職員と一緒にトレーニングに励みます。
疲れている時などは、普通に休憩に充てていました。
消防士の自由時間は筋トレをすることが多いですね。消防士の日常的なトレーニングについてはこちらの記事を参照してください。
👉 【筋トレ】消防士の日常的なトレーニングを解説!【ランニング】
トレーニングの後は栄養補給が重要です。消防士も職場にプロテインやサプリを持ち込んでいる人が多いですね。
👉 最強のマルチビタミン&ミネラルサプリ「アナバイト」を紹介!
夕食は17時過ぎごろから部下が作り始めます。18:00~19:00ごろに食べますが、出場があったり、仕事があると順次遅れる場合があります。
ここでも「所長優先原理」があるので一番最初に食べましょう。
メニューとしては、カレーライス、ハンバーグ、から揚げ、豚カツ、麻婆豆腐、麻婆茄子などのガッツリ系が多く、魚などのあっさり系の和食は少ないです。
3食のメニューは、若い消防士~消防士長くらいの部下が決めるのでガッツリ系が多くなるのは仕方ないですね。
所長が食べたいものをリクエストすると、消防士が気を利かせて所長の好きなメニューを作ってくれる場合があります。
ここで3度目の登場ですが、「所長優先原理」を忘れてはいけません。
部下から、
所長、お風呂ができました!
と報告を受けたら、真っ先に入浴しましょう。
一番風呂に入れる権利があるとともに、義務もあるのです。
ちなみに、大浴場がある消防署と違い、出張所のお風呂は一戸建ての家やマンションに設置されているユニットバスです。
消防士のお風呂事情についてはこちらの記事を参照してください。
ここから仮眠までの夜の業務は、特に決まった内容はありません。
自分が出張所長をやっていた時は、主に次の業務を行っていました。
・各種警防計画の作成
・自分・部下の立入検査の準備
・部下に対する教養・研修
・本部から発出された通知等の整理・データ保存
・ランニング、筋トレなどのトレーニング
火災、風水害、震災等の時は、あらかじめ部隊の行動等を定めた「警防計画」というものに従って活動します。
警防計画の作成も、出張所長に任せられることが多かったですね。
ここからようやく自分の個室で眠ることができます。
最近は出張所でも個室の仮眠室を設けるところが増えてきました。
仮眠に入る場合も、「所長優先原理」です。
所長が寝ないと気兼ねして寝られない部下がいるので、仮眠時間になったら真っ先に寝室に行って休むべきですね。
寝られるとはいっても、家の布団とは違って、硬いベッドと「いつ出場するかわからない」という無意識の不安感があるので、睡眠の質は悪いです。
非番日はたいてい眠気MAXです。
消防署の仮眠について、詳細はこちらの記事を参照してください。
朝は起きてから、顔を洗い、コーヒーを飲んで眠気を覚まします。
非番の朝は頭がぼーっとして働かないので、定例的なルーチンワークをこなします。
7:00ごろになると、部下が朝食を作ってくれますので、食堂で食べます。
・日誌・報告書関係の決裁
・部下職員の残業手当・休暇等の決裁
・反対番の出張所長への申し送り事項メール作成
消防署の朝食の定番釜揚げうどんレシピはこちらの記事を参照してください。
8:00ごろになったら、反対番の出張所長が出勤してきますので、業務上の申し送り事項を口頭とメールで伝えます。
その後、消防車に積んであるヘルメット、防火帽、感染防止衣などの個人装備を降ろして、個人のロッカーにしまいます。
8:30で24時間勤務は終了です!
ここでも、勤務時間が終了したらすぐに帰るようにしましょう。
所長が帰らないと、遠慮して帰れない部下がいます。特に、若い子は遠慮しやすいので、部下への気遣いも重要です。
一当直お疲れ様でした!
今日は、消防士のお仕事シリーズということで、「出張所長の一日」を解説しました!
・出張所長は業務を自由に決めることができる。予定が決まっていなければ、何をするか自由自在
・「所長優先原理」を忘れずに!メシ・風呂は一番最初に行くこと。
・出張所長は庶務担当!給与・休暇関係の決裁、庁舎のメンテナンス、消防車の修理・点検、ゴミ出しや布団のクリーニングなどの予定を確認して部下に指示するのも重要な仕事
といったところで今日は終わりです。
本日の記事はいかがだったでしょうか?
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
消防署の消防士の1日スケジュールについてはこちらの記事を参照してください。
👉 消防署の消防士の1日のスケジュールを解説!【仕事内容・勤務時間・食事作りなどの雑用も!】
消防士あるあるプライベート編についてはこちらの記事を参照してください。
消防士あるある仕事編についてはこちらの記事を参照してください。