こんにちは!マツナガです!
今日の記事では、消防学校で行われる真夏の耐久訓練について説明します。
防火衣と空気呼吸器を着装し、両手にホースを持ち、30メートル高さの訓練塔を30分間に何往復できるのかというすさまじい訓練です。
「消防学校の生活シリーズ」では、私が20年ほど前に消防士に某消防本部の消防士に採用され、某都道府県の消防学校に入校して卒業するまでの7か月間を、当時の訓練日誌などの内容を基に記載していこうと思います!
・消防士になりたい人
・消防士に内定していて、消防学校に入校が決まっている人
・消防学校の生活に興味がある人
それでは、早速やっていきましょう!
目次
私が所属していた消防学校では、8月に耐久訓練というスペシャルメニューがあった。
消防士は、真夏の炎天下であろうが極寒の真冬であろうが、分厚い防火衣と空気呼吸器を着装して走り回って、火事に立ち向かわなくてはならない。
耐久訓練の目的は、「真夏の炎天下でも活動できる体力を試す・自分の限界を知る」という内容である。
・制限時間は30分間
・高さ30mの訓練塔を制限時間内に可能な限り往復する。
・防火衣・防火帽着装
・20mホース2本(1本6キロ程度)を両手に持つ。
・各階に休憩ポイントと給水ポイントがある。
耐久訓練は消防学校で毎年恒例のスペシャルメニューで、同期じゃなくても「耐久訓練」というだけで伝わるくらい非常に厳しい訓練だった。
30分間、30メートルの高さの塔を往復するだけでもキツイのに、暑苦しい服装をしてホースを2本も持っていなくてはいけない。
しかも、20人くらいの学生で一斉に実施するため、狭い階段を学生同士で交差するのがとても難しい。
耐久訓練は何年も行われている訓練なので、合格ラインが存在する。
・7往復以上:凄い
・6往復:普通
・5往復:最低限の合格ライン
・4往復以下:ザコ
自分が何往復できたかをヘルメットに「正」の字で記入し、それが卒業まで残るため、何往復したのかが誰の目にも一目瞭然で分かってしまう。
そのため、みんな何が何でも5回以上は絶対にやりとげたいという強い意志で臨むのである。
30mの訓練塔を使った壮絶なペナルティについてはこちらの記事を参照してください。
👉 【高さ30mの訓練塔70往復!?】消防学校の生活8月編その③【驚愕の登山ペナルティ】
耐久訓練本番の当日は、晴れて非常に暑い日だったことを覚えている。
訓練は、40人の組を2グループに分けて実施される。
グループAが耐久訓練を実施している時はグループBが給水や休憩ポイントの管理、往復した回数のチェックなどのサポートに回り、グループBが実施するときはその逆だ。
訓練を実施するときは、防火衣上下、防火帽、空気呼吸器を着装して、20mホースを2本持たなければならない。
防火衣、防火帽、空気呼吸器で重さ約20kg、ホース2本で約13~15kg、併せて30キロ以上の重量を身にまとって、30mの訓練塔を何往復もしなければならない。
自分は最初に耐久訓練を実施するグループだった。
辛いことは最初に終わらせたほうが良いので、不幸中の幸いだ。
早速防火衣、防火帽、空気呼吸器を着装してホースを持つのだが、この時点でもかなり辛い。
総重量30キロ以上のものを装備しているので当然と言えば当然だが・・・。
5往復は最低でもいけよ!!4回以下は恥だぞ!
用意はいいか?訓練始め!!!
教官の掛け声で耐久訓練がスタートした。
訓練塔の階段はとても狭いので、20人の学生が時間差でスタートしていく。
30分以内に最低でも5回は往復しないと不名誉だ。みんな必死になって登る。
30分以内に5往復だったら結構簡単じゃない?
と思うかもしれないが、30mの訓練塔とは10階建てのビルに相当する高さだ。
5往復とは、6分間で10階建てのビルを往復×5回するのと一緒である。
結構早足で行かないと間に合わない。しかも30キロ以上の装備があるというハンデがある。
真夏の30度以上の気温の中、まさに灼熱地獄だ。
最上階まで登ったが、
あと5回これできるのか・・・。
というくらい辛かったのを覚えている。1階まで早足で降りると、
オラオラー!!まだまだ往復できるぞ!
気合入れて登れ~!
1階の折り返し地点では、教官が消防車のホースを構えて、訓練実施学生に拡散放水を行っている。
灼熱の体には本当にこれがありがたかった。
防火衣をフル着装しているので、体から熱が全く放熱されないのだ。
1往復しただけで顔が真っ赤っかである。
そして耐久訓練の真骨頂は2往復目からである。
訓練塔を登る学生が20人いるので、どうしても狭い階段ですれ違う必要がある。
普通の服装であれば狭い階段でも余裕で交差できるのだろうが、こちらは防火衣とデカいホースを2本も持っているので、すれ違うのに一苦労である。
これが地味に時間を食うのでとても困った。
頑張れ、スポーツドリンクだ!
2階の給水ポイントでサポート要員が口にスポーツドリンクを入れてくれる。
両手がホースでふさがっているので、口に直接飲ませてくれるのだ。
サポート要員は必死に声を出して応援してくれている。
耐久訓練開始から15分以上経過し、3往復くらいしたころだろうか、かなり体に限界が来てしまい、途中の休憩ポイントで休んだ。
体が焼けた鉄のように熱く、頭がボーっとして何も考えられない。
一度休むと体が動かない。結局、残り10分まで休んでしまった。
しかし残り時間は待ってくれない。仕方なく沈んだ体にもう一度エンジンをかける。
あと2往復、いけるぞいけるぞいけるぞ!!!
声を出して、自分に暗示をかける。ここからは体力ではない、もう気合の勝負だ。
ホースの搬送で感覚が無くなった手で、必死にホースを抑えながら鬼の形相で何とか最低限ノルマの5往復をやり切った。
ヘルメットに5往復を示す「正」の字が入った喜びは今でも覚えている。
訓練が終わった学生たちは、1階に降りて放心状態で休んでいた。
4往復以下の学生も数名いたが、今は訓練をやり切って、みんな疲れ切っている。
これだけ辛い耐久訓練、4往復以下だからと言って決して責められないと思った。
今考えると、よく熱中症で死人が出なかったと思う。
私のクラスの最高記録は10往復の学生がいた。
また、女子学生の最高記録は7往復(!)で自分の5往復よりも全然多い。女性のパワーのすごさにも驚かされた。
ちなみに、私の組のクラスメイトが往復回数を詐称して自分のマジックで正の字を書き足すという行為をしていたが、あっという間に他の学生と教官にバレてペナルティを喰らっていた。
不正はしてはいけないものである。
今日の記事では、消防学校で行われる真夏の耐久訓練について紹介しました。
防火衣と空気呼吸器を着装し、両手にホースを持ち、30メートル高さの訓練塔を30分間に何往復できるのかというすさまじい訓練でした。
今考えると理不尽な訓練かもしれませんが、、現場の消防士は真夏の暑い炎天下でも厚い防火衣を来て長時間活動しなくてはならないので、現場の消防士には必要な能力ですね。
といったところで今日は終わりです。
本日の記事はいかがだったでしょうか?
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
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