【消防士の日常】消防隊の訓練を詳しく解説!【日々の訓練】

マツナガ
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こんにちは!マツナガです!

     

今日の記事では、消防署の消防隊が普段どのような訓練を行っているのか解説したいと思います。

消防隊の訓練は、個人の能力を鍛える「基礎能力訓練」と、部隊活動の能力を鍛える「部隊活動訓練」に分けられます。

主な基礎能力訓練

・空気呼吸器・防火衣着装訓練
・ホースカー取扱い・ホース延長訓練
・はしご取扱い訓練
・基本・器具結索訓練

主な部隊活動訓練

・応急はしご訓練
・想定訓練

消防署・消防出張所では、基本的にこのような訓練を日常的に行う日課訓練として行っていることが多いです。

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ほかにやる仕事がある場合は、訓練をしない日もあります。

       

それぞれの訓練には毎年「能力確認テスト」があるので、テストの直前になると毎日時間を見つけては訓練することになります。

ここからは「基礎能力訓練」と「部隊活動訓練」詳しく解説していきたいと思います。

それでは、早速やっていきましょう!

基礎能力訓練

ここでは消防隊員の個人の能力を鍛える「基礎能力訓練」を解説します。

空気呼吸器・防火衣着装訓練

防火衣と空気呼吸器

出場する時に着る「防火衣」と、火災の際に呼吸をするためのボンベとマスク「空気呼吸器」の着装訓練を行います。

火災の際は一刻も早く現場に着いて活動を開始するために、素早く防火衣と空気呼吸器を着装する必要があります。

まさに消防士の基本中の基本ともいえる訓練です。素早さも重要ですが、丁寧に確実に着装することのほうが大切です。

防火衣、活動服のエリが立っているか、ベルトは確実に締められているか、長靴のチャックが締められているかなど、確実に着装するよう気を付けます。

確実に着装できていないと、火災の時に熱から体を守れなかったり、ケガの原因にもなるので「確実さ」が最も重要です。

毎年行われる能力確認テストでは、防火衣着装→空気呼吸器のボンベ交換→空気呼吸器の着装までを一連のセットで行います。

制限時間が決められているので、結構焦ります。

「素早くかつ確実に」を心がけて能力確認テストに臨む感じです。

能力確認テスト直前は、空気呼吸器・防火衣着装訓練を個別に練習する場合もありますが、日常的には朝の点検の時についでに訓練してしまうことのほうが多いです。

マツナガ
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朝の消防車の点検の際に一緒に空気呼吸器・防火衣着装訓練をすれば、実際に出場指令があったときの出場シミュレーション訓練にもなるので一石二鳥です。

      

朝の点検、消防士の1日のスケジュールについてはこちらの記事を参照してください。

👉 消防署の消防士の1日のスケジュールを解説!【仕事内容・勤務時間・食事作りなどの雑用も!】

ホースカー取扱い・ホース延長訓練

出典:四街道市消防本部

ホースの取扱いは、火災現場で放水するには非常に重要なキモの部分です。

基本的には、現場までは「ホースカー」という電動カーを使ってホースを伸ばします。

ホースカーは、ホースを楽に延長することができ、消防士が乗って運転することができるので非常に便利です。

立ちながら運転するため、ちょっとしたコツが必要です。シートベルトもないので、急ブレーキを踏むとホースカーの上から吹っ飛びます。

日常的な訓練ではホースカーの運転、ホースカーを使ったホース延長・想定訓練などを行って、ホースカーの取扱い方を身につけます。

マツナガ
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ベテランになると、ホースカーをバックのまま消防車に収納できたりする芸達者な人もいます。

     

ホースの巻き方も重要な訓練です。

消防士が使うホースには、基本的に65mmと50mmの2種類の口径があります。

基本的な「2重巻き」、マンションやアパートの踊り場などの狭い場所で使う「狭所巻き(名古屋巻き)」、階段で延長していく時などに便利な「折りたたみ」など、ホースには色々な巻き方があります。

二重巻き(出典:中濃消防組合)
折り畳みホース(出典:中濃消防組合)
狭所巻き(出典中濃消防組合)

ホースの巻き方、使いかた、さばき方も非常に重要なので日常的に訓練していきます。

マツナガ
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ホースの巻き方自体は消防学校で習うのですが、実戦的にはどういった現場でどのホースを使うのか、どういった使い方をするのかという訓練は現場で日常的に行います。

     

毎年行う「ホースカー・ホース延長」の能力確認テストでは、想定訓練を行います。

実際に火災を想定して、ホースカーでホースを延長し、火災現場で放水開始体制をとるまでを制限時間内に実施できるかテストします。

消防学校で行うホース搬送訓練についてはこちらの記事を参照してください。

👉 【消防学校のトレーニング】消防学校の生活4月編その③【ついに訓練開始!】

はしご取扱い訓練

出典:関東梯子株式会社公式ホームページ

消防車に積載されている三連はしごの取り扱い方法を訓練します。

三連はしごは、基本的に2~3階程度までのベランダなどに架梯して、放水や救助を行うために使います。

要救助者をはしごから降ろしたり、ベランダなどに進入できない場合ははしごから放水したり、三連はしごは非常に便利な資機材です。

三連はしごは30kg程度の重量があるため、2人で扱います。非常に重たいです。

大きくて重量があるので、取り回しには注意が必要です。

はしごを搬送するときは、肩に非常に重量がかかって痛いので、上手に運ぶコツを覚える必要もあります。

消防学校で習う取扱い方法と、現場で習う取扱い方法が違う場合があるので注意が必要です。

特にはしごの伸ばし方(伸てい)、はしごの固定方法などは現場バージョンのやり方があります。

例えばはしごの固定方法について消防学校では「上部を小ロープで2か所巻き結び」と習いますが、現場では「上部を小ロープをダブル(2重)にして1か所巻き結び」といます。

マツナガ
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消防学校で習う方法は基本中の基本、現場で習う方法は現場に即した合理的かつ時短な方法っていう感じですね。

      

能力確認テストでは、実際に消防車から三連はしごを降ろして、現場まで搬送し、三連はしごを伸ばしてベランダ等にロープで固定するまでの一連の動作を制限時間内にできるか確認します。

消防学校で行う三連はしごの取扱訓練についてはこちらの記事を参照してください。

👉 【消防学校とは?】消防学校の生活5月編その④【救助訓練と三連はしご訓練】

基本結索・器具結索訓練

出典:消防操法の基準(昭和47年消防庁告示第2号)

出典:消防操法の基準(昭和47年消防庁告示第2号)

もやい結び、巻き結び、一重つなぎなどの基本結索や、ポリタンク・ホース・ノズルなどを超ロープに結んで高所に搬送するための器具結索を訓練します。

基本結索、器具結索も現場に配属されてから短い若手の消防士に対しては「能力確認テスト」が課されます。

基本結索・器具結索は消防学校でみっちりと仕込まれますので、そこまで心配する必要はないですね。

いろいろな種類の器具結索を、消防学校の訓練を思い出す感じで練習します。

基本結索・器具結索も重要な訓練ですが、実際に現場で使用するのは「巻き結び」が一番多いでしょう。

というか、消防隊は「巻き結び」以外ほとんど使いません(笑)

マツナガ
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救助隊であれば結索は非常に重要なので、全部の種類の結索を素早く確実に作成できなくてはいけませんよ。

     

基本的には消防車に乗る1番員、2番員が使うスキルなので、小隊長以上は現場で結索することはほぼ無いでしょう。

消防学校で行う器具結索訓練についてはこちらの記事を参照してください。

👉 【消防学校とは?】消防学校の生活5月編その④【救助訓練と三連はしご訓練】

部隊活動訓練

応急はしご訓練

応急はしご操法途中図

応急はしご訓練は、三連はしご取扱い訓練の応用となります。

はしごとロープを使って、2階程度の高さのベランダなどから、要救助者を救出して地上まで降ろすための救助方法です。

実際、火災現場ではほとんど「応急はしご」を使って要救助者を救出することはありません。

マツナガ
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何十年も経験してきたベテラン消防士に聞いたことがありますが「現場で1度しか使ったことがない!」と言っていました。

     

しかし、現場で使うことがほぼないと言っても「応急はしご訓練」は非常に重要な訓練です。

なぜなら、消防隊のチームワークや消防士に必要な基本的なスキルをフル活用できる訓練だからです。

基本結索、三連はしごの使いかた、防火衣・空気呼吸器を着装してのハードな活動など、消防士に必要なスキルや能力を訓練することができます。

また、小隊長から隊員まで役割が決まっていることから、消防隊全員で行うことができるということも非常に大きいメリットです。

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私が出張所長をやっていた時は、応急はしご訓練を通して消防隊のメンバーの能力・体力を向上させたり、チームワークを深めることが多かったですね。
やはり、みんなで訓練すると必然的コミュニケーションが増えるので、チームワークが良くなります。

     

消防学校で行う応急はしご訓練についてはこちらの記事を参照してください。

👉 【応急はしご操法】消防学校の生活7月編その③【熱中症続出】

消防出張所長の仕事についてはこちらの記事を参照してください。

👉 出張所長の1日を解説!

想定訓練

想定訓練は、今まで紹介してきた訓練を複合的に行う「火災現場・救助現場を想定した訓練」のことです。

訓練のシナリオは、その日に色々考えます。

想定訓練のシナリオ例

・管内を消防車で出向中に出場指令が鳴った場合の想定

・共同住宅の2階台所から出火して、要救助者が1名いる想定

・火災現場で、意識がある要救助者をベランダから三連はしごで救出する想定

・火災現場で意識を失っている要救助者を応急はしごで救出する想定

などなど、隊員、小隊長、機関員で色々な案を出し合って、実際の現場を想定した訓練を行います。

リアリティを出すために、火災現場で煙が充満していることを想定して、空気呼吸器のマスクにスモークを貼ったこともありました。

マツナガ
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火災や救助など色々な現場を想定して訓練します。隊員同士で想定を考えるのも非常に楽しいですよ!

      

また、能力確認テストでも想定訓練の「お題」が事前に発表されます。

例えば「共同住宅の2階ベランダで意識がある要救助者を救出したのち、2階ベランダから屋内に進入して放水を実施する」などのお題が出されます。

そのお題に沿った活動を制限時間内に行うというテストを行います。

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想定訓練のテストはチームワークが試されます。1人の能力が高いだけではクリアできないので、チームみんなでカバーできるようにテスト前は何度も練習をします。

     

消防学校で行う想定訓練についてはこちらの記事を参照してください。

👉 【消防活動訓練!】消防学校の生活6月編その③【連結送水管・想定訓練・ホースカー】

まとめ

今日の記事では、消防署の消防隊が普段どのような訓練を行っているのかを解説しました!

基本的には消防隊は本日紹介したような「個人の基礎能力を高める訓練」と「チームワークを高める部隊活動訓練」を行っています。

主な基礎能力訓練

・空気呼吸器・防火衣着装訓練
・ホースカー取扱い・ホース延長訓練
・はしご取扱い訓練
・基本・器具結索訓練

主な部隊活動訓練

・応急はしご訓練
・想定訓練

といったところで今日は終わりです。

本日の記事はいかがだったでしょうか?

それでは、また次の記事でお会いしましょう!

訓練やトレーニングの後は栄養補給が重要です。消防士も職場にプロテインやサプリを持ち込んでいる人が多いですね。

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