こんにちは、マツナガです。
今日の記事は消防学校の位置づけや、カリキュラムについて解説していきたいと思います。
消防学校の寮の部屋、食堂、お風呂、売店などの具体的な施設の内容は後日記事にしますので、楽しみにしていてくださいね!
- 消防士になりたい人
- 消防士に内定していて、消防学校のカリキュラムが知りたい人
- そもそも消防学校って何?という人
目次
消防学校って、これから消防士になりたい人が勉強するための学校じゃないの?
という疑問を持たれている方も多いと思いますが、消防学校とは、都道府県、政令指定都市に設置された消防職員や消防団員のための教育機関であって、一般的にいう学校とは違います。
消防学校の位置づけは、消防組織法第51条に定められています。ちょっと小難しい条文を出しますが、わかりにくいよーという人は「ふーん」で大丈夫です。
1 都道府県は、財政上の事情その他特別の事情のある場合を除くほか、単独に又は共同して、消防職員及び消防団員の教育訓練を行うために消防学校を設置しなければならない。
2(略)
3(略)
4 消防学校の教育訓練については、消防庁が定める基準を確保するように努めなければならない。
じゃあ、消防学校の学生っていうのはすでに消防士なんだね!
つまり、消防士の採用試験に合格して、すでに職員としての待遇を受けている消防職員や、地域の消防団員が教育、研修のために入校するのが消防学校です。
ですので、採用されたばかりの消防士が初任教育をうけるために消防学校に入校した時点でお給料などは出ています。
お給料をもらいながら、一人前の消防士になるための勉強、訓練、研修をするというわけですね!
消防学校ではどんな勉強をするの?
ということで、ここからは消防学校のカリキュラムについて解説します。
ここでは、消防職員の、特に初任教育生のカリキュラムについて詳しくやっていきたいと思います。
消防士になってからある程度のキャリアを積んでいる職員や幹部職員のための専科教育というカリキュラムもあるのですが、ここでは割愛します。
先ほど紹介した消防組織法第51条ですが、その中で、
消防学校の教育訓練については、消防庁が定める基準を確保するように努めなければならない。
という条文がありましたね?
この消防庁が定める基準は「消防学校の教育訓練の基準」という告示で、初任教育を通して、最低限どのような職員になってほしいかが決められています。
・ 服務義務を理解し、職務意欲が旺盛で、住民の信頼を得られること。
・ 警防隊員として、基本的な安全管理について理解し、自らの安全を確保し、災害現場では隊長の下命に基づく基本的な活動ができること。
・ 消防業務全般について概要を理解していること。
・ 住民からの一般的な質問に応答できること。
そして、具体的な初任教育のカリキュラムは下の表のようになっています。
このカリキュラムに沿って授業や訓練を受けるのですが、基本的にすべての科目でテストがあります!
期末テストや中間テストみたいなものですね。自分の時は、赤点をとった人たちは合格点を取るまでは再試があって、それでも合格できないときはペナルティを設ける教官もいましたね。
自分が初任教育生だった当時のペナルティとしてはホースを搬送しながら校庭20周!や、腕立て伏せ1000回!大浴場の掃除一か月!などの体力的なものでした(笑)今はパワハラ等に厳しくなったので、そこまでのペナルティはないかもしれませんね。
ただ、普通に自習の時間などに復習していれば合格点に到達するのは難しくない程度のテストですので、消防士の採用試験に合格することができた人ならば、余程気を抜かなければ大丈夫だと思います。
・倫理
・法学基礎、消防法
・消防組織制度
・服務と勤務
・理化学
基礎教育の中では、地方公務員として基本的な素養を学びます。
難しい用語が並んでいますが、授業で学ぶのは基礎中の基礎なので、難易度はそんなに高くないです。
全て座学ですので、高校や大学みたいに講義形式で進んでいきます。
基本的に消防学校では、午前座学、午後訓練という時間割が多かったですね!(一日座学の日もありましたが、そういう日は超眠いです(笑))
例えば、「服務と勤務」では、地方公務員としてしてはいけないことなど(政治的行為の制限や、仕事で知りえた秘密を守る義務など)を学びます。
自分は理系科目が苦手だったので、理化学は大変でしたね。この理化学や倫理は、高校生レベルの授業だと思いますので、そこまで気負わなくても大丈夫です。
・予防広報
・危険物
・消防用設備
・査察
・建築
・安全管理
・特殊災害と保安
・火災防ぎょ
・火災調査
・防災
・救急
・消防機械・ポンプ
実務教育では、消防士になるための専門的な知識を講義形式で学びます。
例えば危険物の授業では、在学中に危険物取扱者の乙種第4類の試験に合格することが目的となります。
ですので、すでに乙4の試験に合格している人は、ほかの種類(乙種2類、3類など)の試験を受けることになると思います。
消防用設備、査察、建築では、消防用設備の種類、立入検査や消防同意(新しい建築物が建つ前に、消防本部で消防法などに適合しているかを書類で審査する業務)の知識を学びます。
火災防ぎょ、消防機械・ポンプでは、この後に紹介する実科訓練でも活用する知識を勉強します。
例えば火災防御では、火災現場ではどういった場所に消防車を配置するのか、火災が起きている部屋に進入する前に確認する事などを学びます。
消防機械・ポンプでは、ポンプの能力の計算方法や、消防車、ホースやノズル、連結送水管などの現場活動で実際に使用する器具の知識を学びます。
消防学校の多くの教官の方々は、その消防学校がある都道府県や政令指定都市の消防本部の職員が派遣されてきています(たまに都道府県に直接採用されている教官もいます)。基本的に消防隊や救助隊で現場バリバリの経験の人が派遣されてくる場合が多いので、予防、危険物、消防用設備、建築などに詳しいスペシャリストの職員はあまり派遣されてきません。ただ、消防の実務では予防、危険物、消防用設備、建築などのスペシャリストは非常に重宝されますので、たとえ現場に配属されて消防隊、救急隊、救助隊で挫折したとしてもあきらめないでください!こういった消防法のスペシャリストとして活躍する道があります。体育会系の人も、文科系の人も両方活躍する道があるのが、消防士という職業の良いところですね!
・訓練礼式
・消防活動訓練
・救助訓練
・機器取扱訓練
・消防活動応用訓練
・体育
実科訓練では、実際に体を動かして、訓練します。消防学校では午後に組み込まれることがほとんどでしたね。
訓練礼式では、「気を付け」「敬礼」「回れ右」などの、隊として行動するときの基本的な動作を学びます。軍隊の行進みたいなものをイメージしていただければOKですね。
この中で特に体力的にキツイのが、救助訓練、機器取扱訓練、消防活動応用訓練ですね。
救助訓練では、ロープの結び方や、ロープでの登はんの訓練(メッチャきつい・・・)、高いところからロープをつたって降りる懸垂降下訓練などがあります。
機器取扱訓練では、火災の時に装備する空気呼吸器(ボンベやマスク)、三連はしご(めちゃ重たい)の取扱い方の訓練を行います。
消防活動応用訓練では、実際に防火服を着て、消防車に乗り込んで、訓練棟(訓練用のビルみたいな建物)で火災が起こった想定で活動する訓練などを行います。
この実科訓練の詳細は後日、私が消防学校で学んでいた時の記事を書こうと思います。
・実務研修
・選択研修
・行事その他
上で説明した以外でも、いろいろな授業があります。中には「消防英語」という英語の講師を招く授業もありました。
行事では、駅伝大会や、救助訓練の総合技術を争うリレー大会、他都道府県の消防学校との合同体育祭、遠距離徒歩訓練など多彩な行事を行います。
また、消防学校の最後には総合査閲といって、今までの訓練の成果を、家族や友人などを招いて披露する場があるので、こういった行事関係はキツかったとともにとても楽しかった思い出があります。
いかがだったでしょうか?
今回は、消防学校の位置づけや、消防学校のカリキュラムの概要について説明しました。
消防士になりたい人や、消防士に内定していて消防学校入校待ちの人たちの助けになったら幸いです。
実際の私の消防学校時代の想い出や体験などは、おいおい記事にしていきたいと思いますので、待っていてくださいね!
今日はこのあたりで失礼します。それでは~。